理念・ミッション
〇経営理念
「成長を喜びへ」
私たちは「子どもひとりひとりの成長、職員ひとりひとりの成長、
それぞれがそれぞれの速度で成長し、その成長を喜び合える企業文化」を大切にします。
〇保育理念
「子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす保育」
2020.06.15
代表取締役
竹居正takei tadashi
子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす
保育所の運営事業を営む同社は、2010年に設立。現在では16園・保育児童200名以上の規模にまで拡大している成長企業です。今回取材した、竹居さんは同社代表を2012年から務め、同社の成長と共に歩んできた方であり、事業拡大の中、安定した基盤をつくってきた推進者となります。
竹居さんの志であり、同社の理念である「子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす保育」を軸とした、幼少期の人格形成において重要な自己肯定感を育む保育は、多くの親御さんからの安心やお子さんからの信頼を獲得してきました。
「理念に働いてもらっています」と語る竹居さん。社内の仕組みに依存するのではなく、理念を基にした日々のコミュニケーションを大切にしてきたからこそ、また理念を自分の言葉にしているからこそ、社内の自走感や働きがいを生み出すことができ、順調な成長を遂げていると感じます。
単に子どもを預かれば良いと考えるのではなく、子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認めて、伸ばすことです。また、後天的に身につけたものよりも、その子どもが生まれた瞬間から持っている個性を大切にしたいです。そのために、子どもの個性を見つけて、伸ばしていく保育を意識しております。
きっかけは大学時代のアメリカ留学です。せっかく日本の大学に入ったにも関わらず、周囲は遊んでばかり、授業に少し出てギリギリで単位を取るような状況。私は自分自身を向上させたく、大きなギャップがありました。そこで環境を変えるためアメリカのユタ大学へ留学をし、良い意味でカルチャーショックを受けたのです。
そこにはバックグラウンドがみんな違う中で、良い意味で個性を出していることが当たり前の環境がありました。大学では横並び意識ではなく、みんなが意見を出し合いますし、それを先生も賞賛します。街を歩けば個性的なファッションの方もいますが、誰も気にしません。人と違う個性を尊重し合う環境があると感じました。
アメリカ留学を通じて、個性を発揮できる社会が素敵であると感じた体験が今に影響をしています。いつか自分で、あんな自由な雰囲気の場所をつくりたい、そのために事業を自分で興したい、そんな思いが芽生えました。
起業する夢に向かって、アメリカの政府機関で働くなど経験を積み、帰国した後2010年に脱サラをしました。当時は学童保育に着目し、市場でのニーズの高さや、放課後に子どもを預かって勉強を教えることが私に合うと思い起業しました。ですが、なかなかうまくいきませんでした。甘くはなかったです。
そんな時に、学童教室の運営で知り合った方が保育園を運営しており、その引受先を探していました。「竹居さんやりませんか」と。自分の考え方にも合うので、そのまま引き継ぎ、代表交代をしました。すごく運が良かったです。それが2012年。私が35歳の時。今では16園ですが、当時はまだ1園のみでして、「ここから何とかやらなければ」という思いでした。
引き継いだ当初は、とにかく必死で、理念を考える余裕はありませんでした。ようやく慣れてきた頃に他園の様子を見る中で、行儀よく食べさせることを重んじるあまりに、子どもが怯えていたことが心に残りました。そうやって、自分の思いと照らし合わせる中で、子どもたちがのびのびと自由に過ごしながら個性を発揮できる環境こそが私が提供したいものに違いないと、気づいたのです。
※経営理念
「成長を喜びへ」
私たちは「子どもひとりひとりの成長、職員ひとりひとりの成長、
それぞれがそれぞれの速度で成長し、その成長を喜び合える企業文化」を大切にします。
※保育理念
「子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす保育」
前提として、弊社には経営理念の中に保育理念が存在します。経営理念が根底にあり、保育園としての強みや特色を打ち出したものが保育理念です。
当初、理念は会社を引き継いだ当時から存在していたものを活用しておりました。そしてスタッフも増えていく中で、「うちは、どういう保育を目指すのか」といった声が現場から上がるようになったのです。また、当時は保育事業への参入事業者が増えている状況でもあり、弊社としても独自性を打ち出していく必要がありました。
そうは言っても、きちんと自分の言葉になっていないと他人にも伝わらないでしょうし、自分の人生観があってこその理念なので、これまでの考えをすぐにまとめるのではなく、考えて、ひらめいて、また考えて、それを繰り返しました。とても大変でしたが、自分の言葉になったと自分自身が納得できるまで考えました。
また独りよがりにならぬよう、今の会社の状況で発信したらどうなるのかと振り返り、自分の考えをスタッフにも当てながら話し合いをして、練り上げました。最終的にみんなに発表した際には、反応がかなり良く、手ごたえを感じました。きちんと自分に向き合って、思いを言葉へと結晶化できたからであると思います。
理念を掲げる前は、職員を採用してもうちと合わないことがあり、お互いに幸せでなかったと思います。しかし、理念を掲げてからは、理念に基づいた採用を行うことができ、うまくいっています。
またコミュニケーションをする際にも、保育現場での行動や考えに対して「僕がこうだから」と話をするのではなく、「例えばそれは理念に即して考えるとどうなのかな、自分で考えてみるとどうなるだろう」といったように、私ではなく理念を軸に考えてもらいます。それにより、理念をベースにして、スタッフが個々人の良さを発揮して、子どもに向き合ってくれているように感じます。
これらは一例ではありますが、あらゆる場面で理念を働かせる、理念に働いてもらうことによって、会社としての一体感や、提供するサービスの向上につながっていると感じます。
実は保育園で関わる0~5歳の年齢期は、人の土台づくりにとても大事な時期と言われています。人の成長はピラミッドのようになっており、土台となる人格や情緒づくりの時期が0~2歳です。その年齢時に子どもが「自分は自分で良いのだ」という気持ちを得られる安心のできる環境で育ち、自己肯定感を育むことがすごく大事でして、成人してからの年収などの差にも繋がっているという論文もあります。
その自己肯定感を生む考え方の一つとして、特定の個人が自分を受け入れてくれる安心感をアタッチメントと言います。アタッチメントを子どもと築ける存在が一人でも子どもの周りにいれば自己肯定感は育ちやすいのです。その自分を受け入れてくれる存在は保育園の保育士でも良いのです。
そして、自己肯定感の土台をつくったうえで、しつけが大事になってくる3~5歳で、規律や調和といった集団生活の仕組みを教える。そのうえで、6歳以降で勉強をさせると良いと言われております。最初に教育をしてしまうと土台がないので、うまくいかないのです。そこで、うちは土台となる自己肯定感づくりを意識しています。
その通りです。ぜひ読者のみんなさんにも、子どもの精神面を意識していただくと良いと思います。目に見える怪我に敏感な人は多いですが、心の傷は見落としがちです。何気ない保育士の一言であっても、子どもは表に見せないだけでグサッと来ているはずです。それが一生に影響するのではないかと心配します。
例えば2歳になったら椅子に座ってご飯を食べるものと決めつけて、できないと叱る。言葉が分からないのに、上から目線で、画一的にガンガン言っても恐怖感情が働いてしまいます。それでは成人してからも、どこか心の傷として残りかねません。
もちろんしつけが愛情という時代もありましたが、今は真逆です。時代は子どもの自主性を尊重する方針に変わっています。昔ながらの教育的な要素の強い保育園もありますが、うちは子どもの個性を大事にしています。例えば一日の過ごし方では、大まかな時間の区切りはありますが、お昼寝や食事にしても画一的な時間に合わせるのではなく、子どもの様子を見て子どもに合わせています。
※著書:『「伸ばす」保育で“やりたい”がのびのび育つ』
※鯉のぼりの例
チャイルドビジョンでは、鯉のぼりの季節の少し前から、鯉のぼりを用意している。すると子どもがなぜ置いてあるのか、いったい何なのかと自然に疑問・興味の関心を持つ。関心を持った子には保育士が鯉のぼりについて教え、鯉のぼりづくりを始める。するとその様子を見て他の子も興味を示し、鯉のぼり行事へと繋がる。保育士がまず教えて子どもに鯉のぼりづくりを行わせるのではなく、子どもが主体的にやってみたいと思う仕掛けを設けている。
その通りです。私が考えたというよりも、理念を基に現場から出てきたアイデアです。もちろん鯉のぼりだけでなく、スイカ割りをするにしても、エントランスにスイカを置いておいたら子どもが不思議に思うのです。「スイカ食べたいな」とか「なんでスイカが置いてあるの」と。
様子を見ながら保育士が「これは割ってみんなで食べるんだよ」「スイカ割りをやろうか」「みんなでやったら楽しいよね」って話をして、とにかく子どもたちを主体とする保育を心掛けています。それが自己肯定感を育み、個性の発揮に繋がっていきます。
大切なのは、子ども目線に立って考えることです。このタイミングで昼寝をして、など大まかな予定はありますけど、時間では決めません。お昼ご飯の時間でも遊びたいならそれで良いと思います。その子が遊びに夢中になっているのですから。運動会のかけっこでゴールに向かわなくても、何か頑張っているなら「みんなで応援しましょう」って保育士さんが声をかけて、主体性を応援します。
もちろん、ある程度は規律がないと集団生活にならないので、そんな時には教えます。高いところに登って危なそうでしたら、「降りた方が楽しいよねえ」って、伝える感じですね。あくまで子どもたちを主体として、その自主性を応援しながら、自己肯定感を育んでいます。
先ほどの話と重なりますが、人間の成長の土台となる、人格や情緒づくりの時期が0~2歳です。この時期に自己肯定感というピラミッドの土台を築くことが、成長してからの人生を大きく向上させます。ですから、私たち保育園は子どもにとって、いつも自分を見てくれ、何かあれば守ってくれる、変わらず愛してくれる、そういった存在である必要があります。子どもにとって心底安心できる環境であり、保育士ひとりひとりがそのような存在である必要があります。
そのような絶対的安心感を提供し、個性を認めて伸ばすことは私たちだけの考えではなく、保育園という存在の本質的価値であると私は考えます。その本質的価値を意識しつつ、待機児童問題がまだ続いているので、現状路線で園を増やしていくことを続けていきます。今は16園ですが、着実な成長をしていき30園を超え、上場も狙っていきます。また、人の成長に関わる事業という視点で、保育事業に限らず取り組んでいきたいですね。最終的には世界に飛び出してやっていきたいです。
スタッフの自己肯定感をまず育てることです。私たちの保育理念、「子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす教育」には、大人の個性も伸ばしてほしいという思いが込められています。子どもが個性を認めてもらえると、のびのびと素質や能力を伸ばせられるように、大人も「そのままのあなたで良いんだよ」と、伝われば、その人の良さを発揮し、高いパフォーマンスを出すことができます。
そのためにも成長を焦らせないことが大切です。私自身の考えとして、成長が素晴らしいと思っています。一方で人には個性があるので、成長にも差があります。急にグッと伸びる人もいれば、長く壁に当たってしまう人もいます。今この瞬間だけを切り取れば分かりやすいですが、長い目で見ると分からないものです。そこで、「ゆっくりでも着実に成長をしようね」と伝えています。ゆっくりでも否定せずに、個性を伸ばすにはどうしたらいいのかと日々考えております。
あとは自由な雰囲気づくりを大事にしています。自由がなければ個性を生かす創造性が生まれないですし、自由の中でチャレンジをして学んでいくものなので、創造性の余地を生むことが大切です。そこで理念を軸にして、保育園の運営方針や行事などは各園にある程度任せています。また、創造性を生むためには、褒めることがすごく大事です。私が現場に行く時には、周囲の人間から聞いた話をもとに褒めます。
そうやって素質や能力を伸ばしながら、スタッフにも仕事を通じた自己成長感の尊さを感じてもらいたいです。仕事で少しでも成長して、それで良い保育ができたり、子どもの笑顔が増えることを楽しんでもらいたいです。
とにかく言葉でのコミュニケーションを大切にしております。メールで済ますのではなく、少なくとも電話でのやりとりや、週一回の対面でのミーティングをして、密に会話をします。特に感情が絡むような話は、間違って伝えると危ないと思います。人間ですから仕組みに依存をしたり、機械的に対応するのではなく、可能な限り直接のコミュニケーションを大事にしています。また先ほど話しましたように、私の意見を伝えるのではなく、理念を軸にその人に考えてもらうようにしています。理念をとにかく働かせています。
日々のコミュニケーションです。日々問いかけをしたり、考える機会を設けることによって、自然と浸透をしていると思います。日々の行動の振り返りの際にも、理念に基づいて振り返る仕組みを入れ込むといった工夫も行っております。また理念に基づいた採用を行えるようになったので、もともと共感性のある人が入っていることも起因しています。
うちで活躍するような、できる保育士さんには子どもが集まります。子どもの自己肯定感をつくれる、アタッチメントのできる雰囲気を持っている人は、「雰囲気が良かった」「あの先生がすごくよかった」と、子どもがなぜか寄ってくる現象があるのです。
もちろん活躍する人を採用で完全に見抜くことは難しいですけれど、理念をもとに話を聞きます。方向性があっている人は、やはり体験やエピソードで通ずるものがあります。そのようにして子どもの自己肯定感をつくれる人かと想像を湧かせます。
うちはスーパーバイザー制度を敷いていて、経営陣・スーパーバイザー・保育園と役割分担しております。経営を担う経営陣と、現場の保育を担う保育園との間を取り持つ役割をスーパーバイザーが担っています。
本社と現場だけでは、経営はできるけれども、保育ができない人もいますし、逆もあります。そうなると、お互いに話が通じないと不満が溜まりますし、子どもにも良い影響を出せません。うちはベテランの保育士経験者がスーパーバイザーとなり、園と会社の間の仲立ち役を務めることによって、その点を解消しています。
一人のスーパーバイザーが5・6園を巡回して見ておりまして、現場の様々な相談事に乗っています。うちの退職率が極めて低いことの一因としてスーパーバイザーの存在が大きいです。
前提として、人材不足の業界ですから、どこも人材の確保に苦労をしているはずです。そのような時代であっても私たちは、採用に慎重です。私たちの保育理念に共感しているか、それを体現できるか、そういった観点を非常に大切にしております。
また良い保育を行うためには、スタッフの働きやすさが非常に大切です。働きやすい職場であれば、スタッフの心に余裕が生まれ、子どもへの接し方も丁寧になります。スタッフ同士の人間関係も良くなりますから、園の雰囲気も良くなり、子どもの安心感にも繋がります。
そのような考え方の下、働きやすさを意識した環境づくりを行い、そして理念に共感した方に来ていただいていることが、結果として安定した雇用に繋がっていると考えます。
有給を取りづらい業界特有の問題が存在するのですが、うちの消化率は70%以上です。有給消化を奨励するための制度も設けており、有給取得時には一日5000円まで手当てを支給しています。他にもノー残業を推奨したり、基準よりも多く職員を配置したりと、働きやすい環境づくりの仕掛けを設けております。
もちろん誰かが休んだら別の誰かが埋めないといけないのですが、シフトを組む園長にとっても誰がいつ休むか分かるため、シフトを組みやすいといった効果も出ています。実際、繁忙期以外はほとんどシフト通りに退勤が出来ています。結果として、園長の精神的な負担減にも繋がっています。
実際、理念に共感した方に多く来ていただいております。やりがいは人それぞれなのでしょうが、子どもの人格形成の一番大事な時期に関わり、その子の個性を大切にして関わっていくことを大切にする、うちならではのやりがいに、仕事の喜びを感じる保育士さんが多いです。
また理念を大切にしていることから、同じ保育観を持った仲間と働けることは私たちの特徴の一つです。単に子どもを預かるのではなく、子どもひとりひとりの個性を大事にしたいと考えている方は気持ちよく子どもと関われるはずです。
理念・ミッション
〇経営理念
「成長を喜びへ」
私たちは「子どもひとりひとりの成長、職員ひとりひとりの成長、
それぞれがそれぞれの速度で成長し、その成長を喜び合える企業文化」を大切にします。
〇保育理念
「子どもひとりひとりの個性を尊いものとして認め、伸ばす保育」
社名
株式会社チャイルドビジョン
代表
代表取締役 竹居正
事業内容
設立年
2010年
社員数
195人(単体)※2019年4月 現在
売上
3億6460万円(単体) ※2018年3月期実績
所在地
〒108-0014
東京都港区芝5-20-9 東化ビル5F
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