2020.10.23

千株式会社

人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。

INTERVIEW - 01
千株式会社

代表取締役社長

千葉伸明nobuaki chiba

KOKOROZASHI

人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。

今回の取材について

インターネット写真販売サービス「はいチーズ!」を運営する千株式会社は、2004年の創業以来、保育園、幼稚園、小学校などの教育機関、そこに通う子どもたちと保護者みんなに笑顔を届けようと事業を展開し、業界のトップバッターとして成長を続けてきました。

近年の同社は、教育機関のICT化の波に乗る形で事業領域の拡大を進めており、業務支援サービス「Hoisys(ホイシス)」をM&Aで事業譲受するなど、その成長の勢いは加速中です。その同社の成長理由を探るべく、今回の取材では同社代表の千葉伸明さん、取締役の田中慶太さんからお話を伺いました。

千葉さんが高校生の頃に掲げた「世界を動かす会社を創る」という志が、同社のミッションの核となり、今も原動力として息づいている同社。千葉さんからは、志を長年にわたって抱き続けるという一貫したブレない熱意と、「世界を動かす会社を創る。その志を社員とともに実現する」「世界を動かす人を育てる場となりたい」という想いを強く感じました。

事業推進の原動力となる志や大切にされる価値観

起業を志したきっかけについて教えてください。

私の家系は、経営者一家だったため、子どものころ、父の会社の方と接すると、「伸明が会社を継ぐのだろう」という目線で私が見られていることをよく感じました。

現在、父とは頻繁に会話をする仲ですが、当時は父に対する反抗心もあったのでしょう。父の会社で働くなら自分の会社を作ってみようと思ったのです。そんな思いが芽生えた頃、父の部屋の本棚にあった『ユダヤの商法』(編集部注:日本マクドナルド創業者 藤田田氏の著書)を読みました。そこには世界を動かしているのは、ユダヤ、華僑、日本の総合商社だと書かれていました。高校2年生だった自分にとってはすごくインパクトがあり、自分も「世界を動かす会社を創りたい」と思ったのです。

特に影響を受けた偉人や経営者は誰ですか。

高校2年の夏に『ユダヤの商法』を読んでから、卒業するまでの1年半で学校の図書室の本を全て読もうと読み漁りました。1年半の間に学校で一番本を読んだのは私である自負があります。さすがに図書室の本全ては無理でしたが、偉人の伝記は片っ端から読みました。

当時の若手経営者として、ベンチャー三銃士と呼ばれていた、ソフトバンクの孫正義さん、パソナの南部靖之さん、H.I.S.の澤田秀雄さんからも刺激を受けました。そして最も影響を受けた経営者は、松下幸之助さんです。

松下幸之助さんの本は少なくとも50冊は読んだはずです。不思議な話ですが、本を読んでいるというよりも、本を通じて松下幸之助さんと会話しているようなイメージでした。先輩経営者に聞くこともたくさんありましたけれど、なにかあった時にパッと頭に浮かぶのは、松下幸之助さんの言葉とテープで聞いたことがある声です。

様々な方に影響を受け創業。現在の事業に至った経緯を教えてください。

フルコミッションの営業職として社会人デビューをした後、20歳で1社目の会社を作りましたが、残念ながら失敗しました。その後、営業職として通信系の会社に勤めながらも、25歳になったらもう一度起業しようと心に決めていました。2回目の創業では、長寿企業国のひとつとなるような自社サービスの会社を立ち上げることに決めていました。日本は良い会社がたくさんある長寿企業国です。その中で新しい会社を作るとなると、自分が「ちょっとやりたい」「今勤めている会社と合わない」ではなく、もっと大きな気持ちで作らなければならないと考えていたからです。

そのような思いを巡らせながら、一サラリーマンとして通信系の会社で光ファイバーの営業をする傍ら、出会った経営者の方々に、「なぜ起業したのですか」「なぜこの事業なのですか」と聞いて回りました。事業を興すために、ヒントを探していたのです。

この2つを聞くと、「こんな大変なことがあった」「これが儲かると思った」「これがお客様に喜んでもらえた」「次はこれが当たると思う」と様々な話を聞かせてくださり、最終的には300社くらいの経営者の方に話を聞くことができました。そんな中、ある経営者の方から「子どもの卒園式やピアノ発表会の動画を撮って親に渡したら、とても喜ばれた」という話を伺い、それが創業時のサービス「はいチーズ!」のヒントとなりました。

300社以上の方の話をヒントに始めた「はいチーズ!」。どのような月日でしたか。

「はいチーズ!」の事業を進める中、創業当初は、システムトラブルなどの苦難の連続で、社員にとっても辛い環境であったはずです。しかし辛い状況であっても、社員が仲良くそして一生懸命に働いてくれました。やはり写真が好きであったり、写真を通じて笑顔を届けたいと思っている人が集まっていたからだと思います。

「世界を動かす会社を作る」という志にとっては、必ずしもこの事業ではなくともよかったのかもしれません。創業から数年間赤字が続く中で、もしかしたらどこかで間違えたのかもしれないと思ったことも何度もあります。しかし、ユーザー様から届く様々なメールの中に、初めて「とても素敵な写真をありがとうございます」といった温かい言葉をいただけたことがありました。それをプリントアウトして社員達が、みんな目を潤ませながら見ていました。その様子を目にした時「このために頑張っている」「自分は人生をかけるような事業と出会った」と思いました。そして「はいチーズ!」という事業と出会うことで、私の中で今これだけの仲間との出会いが生まれ、ワクワクする未来に繋がっているのです。

「千」という社名に込めた想いを教えてください。

当初は将来的に、サービスに合わせた社名変更も考えていましたが、インパクトがあり将来に渡って続く名前にしようと、「千」という社名に決めました。

当時辞典で調べてみると、「千」という漢字には「広がる」や「無限」という意味合いがありました。そしてITの世界では、メガ・ギガ・テラ・ペタと1000ずつの単位が上がっていきます。ゆくゆくは世界に目を向けて戦えるような「世界を動かす会社を創る」を目指して、1000個ずつ努力を積み上げ、次のステージに上がっていくような思いを込めて「千」と名付けました。

商品・サービスに込められた想い

貴社の事業について教えてください。

主力事業は「はいチーズ!」です。保育園、幼稚園や小学校など、教育機関の入園式や運動会などの大切なイベントや日常の成長の場にカメラマンを派遣し、その写真を保護者がインターネットで購入できるサービスです。それまで先生方がサンプル写真の印刷、壁貼り、集金、配布などのアナログ業務を行っていたものをIT化しました。「一枚の写真から千の笑顔を。」をモットーにサービス提供をしており、先生方の負担を減らすだけでなく、保護者が子どもの写真によりたくさん触れる機会を提供しています。

 

 

他にも保育園・幼稚園に向けて、2020年4月に保育ICT株式会社をグループ会社として迎え、「Hoisys(ホイシス)」「Hoimin(ホイミン)」のサービス提供も開始しました。ICTを使って保育現場の事務業務を効率化し、保育士が子どもと接する時間を増やし、より良い保育の実現、ひいては子どもの安全・安心を守ることに繋がるサービスです。

 

2020年には、先生方からの要望を受け、コロナ禍で登園が難しい状況に応えようと、「園チャンネル」をスタートさせました。オンライン上で先生が子どもたちに向けて、工作や手遊び、ダンスなどの保育動画を配信できるサービスです。

主力事業である「はいチーズ!」の強みについて教えてください。

強みのひとつは「顔検索」です。保育園や小学校の壁に貼り出すものと違い、インターネットで写真を販売する「はいチーズ!」には、たくさんの写真を掲載することができます。しかし、保護者にとっては膨大な写真の中から子どもの写真を探すだけでも大変です。そこで、保護者の方が我が子の写真を瞬時に見つけだすことができるようにしました。

実は数年前から、これからはテクノロジー、特に人工知能を作る会社、使う会社に分かれていくと考えていました。そこで5年程前にシンギュラリティという言葉が出始めた頃から、人工知能を作れる会社もしくは人工知能を使う会社を目指して取り組んできました。

2010年頃、AWS(編集部注:Amazon.comにより提供されているクラウドコンピューティングサービス アマゾンウェブサービスの略)の存在を聞きましたが、当時はまだ日本ではサービスを行っていませんでした。色々と調べてみると、類似のサービスを某企業が提供していることが分かり、使い始めてみました。その後AWSが日本でサービスを始めたのに合わせて2012年から利用を開始し、2016年にはAmazon Rekognitionという画像認識AIサービスを使い研究を重ね、2017年にようやく顔検索機能をサービスに組み込むことができたのです。

サービスに対する魅力やこだわりについて教えてください。

幼稚園、保育園、小学校の廊下の壁に写真が貼り出されていることが当たり前だった時代に、業界トップバッターでインターネットで販売できるようにし、新たな市場を作ってきました。

この業界では、先生方としっかりとコミュニケーションを取って、完璧なオペレーションを回すことが非常に重要なので、手厚い営業体制を敷いています。また、当社では登録カメラマンだけでなく自社カメラマンを採用しており、自社カメラマンは年間約200もの現場を撮影しに行きます。特別な一日に決して穴をあけないように、インターネットというデジタル面だけでなく、先生方とのコミュニケーション、カメラマンの手配といったアナログ面もとても大切にしているのです。

イベントごとの写真の販売記録を全てデータ化し、どのようなカットが良いのか、こういうシーンではどのような明るさが良いのか、こういうイベントでは何人のカメラマンが必要なのか分析をし、もっと良い写真を撮るためのスキルを磨き続けています。

人財活性や組織づくりへの取り組み

ここ数年で大きく社員数を増やした同社。ここ数年の変化について感じることを教えてください。

当社は10月(編集部注:20209月取材)で17年目に入るのですが、実は10年目までは社員数目標を掲げていませんでした。「少数精鋭で良い」と言い切っており、人を増やすよりも社員一人ひとりの生産性を上げることを重視していました。

けれども、社員一人ひとりの生産性や仕事の質という点では、すでに限界を超えるところまで来ていました。そのためもっと多くの人にサービスを届けるために、2014年に仲間を増やすことを掲げて、一気に社員を増やし始め、昨年度も新入社員46名、中途入社35名を採用しました。

そうして新しい仲間がどんどん入ってくる一方、「はいチーズ!」という同じ事業を13年間やり続ける中で、新しいことへの挑戦が少なくなってきているように感じていました。既存事業のエリア拡大や顧客拡大はもちろん大事です。しかしそちらにばかり時間やエネルギーをかけてはいないかと危惧するようになったのです。「世界を動かす会社を創る」、創業の精神に立ち返って、「自分たちはベンチャー企業なのだ」という開拓者精神をもう一度持たなければならないと感じていました。

まさに原点回帰。ミッション「人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。」への想いについて教えてください。

創業してから13年間は、ほぼ単一の「はいチーズ!」事業でした。「はいチーズ!」事業について振り返った時に、リーマンショックも記憶に残っていますが、なにより東日本大震災です。東日本大震災では津波で町も家も多くのものが流されました。家族の写真を探して、せっかく見つけた写真なのに泥や油にまみれて綺麗な状態ではないのです。

写真に関わっている者として私たちのメンバーも数多く写真を綺麗にするボランティア活動に参加をしました。その光景を見ながら、あることを思いました。日々の生活の中でも子どもの写真が一枚手元にあるだけで、ほっこりしたり、頑張ろうという気持ちになるものです。私たちが一年に一枚か、ひょっとしたら一生に一枚なのかもしれませんが、写真を届けたその一枚が人を元気にする。かけがえのない日常の中で、影ながら貢献できたらと思い、それが「人の心に火をつける」という言葉に結びつきました。

これからのチャレンジについて教えてください。

9月(編集部注:20209月)から第17期が始まりますが、第10期と比べると幸いにも10倍くらいの企業規模になりました。組織には30人、100人、300人と壁があると言われていますが、この成長ペースで行けば社員数400人、そして売上でも300億円が見えています。次は社名である「千」に合わせて、社員数1000人、売上高1000億円を目指していきます。

1000人、1000億円のための取り組みについて教えてください。

日本は長寿企業国ですが、私たちもその1社になります。そのためには変わっていく世界に対して着実に順応し、常に挑戦していくことが必要です。

世の中ではインターネットによって当たり前にできることなのに、幼稚園・保育園ではまだ実現されていない部分も多くあります。例えば熱があって登園できない子どもたちに、園の様子が見られるようにする仕組みや、園と保護者との間の現金のやり取りをなくす仕組みなど、一般的な社会よりも遅れている部分を追いつかせるだけでなく、追い抜くことも私たちがチャレンジすべきことです。

ミッションである「人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。」を胸に、世のためとなり、今具現化できるものは全て実現させます。そのさらに次をどのように生み出すのか、世の中に先駆けてアイデアを温めて行動していかなくてはなりません。社員とともに人の心に火をつけ、世界を動かしていきます。

INTERVIEW - 02
千株式会社

取締役

田中慶太keita tanaka

KOKOROZASHI

多士済々の最強のチームづくり

今回の取材について

同社取締役の田中慶太さんは2016年に同社に参画し、事業を成長させるためのHowに焦点をあて、戦略・戦術・戦力の充実化に取り組んでいます。
新卒プロパーの若手メンバー、中途入社のプロフェッショナルメンバー、M&Aで参画したメンバーなど、様々な背景のメンバーの個性やスキルを活かしながら、多士済々の最強のチームづくりを目指す田中さんに、同社のバリューに込めた想い、その浸透の取り組みについてお伺いしました。

事業推進の原動力となる志や大切にされる価値観

千株式会社にジョインしたきっかけを教えてください。

私自身のキャリアとして、朝日アーサーアンダーセンという経営コンサルティング会社と、リクルートでそれぞれ6年ずつ働いた経験があり、次はこれまでの経験をフルに活かせるようなチャレンジをしたいと思っていた際、現在の千株式会社と出会いました。

千株式会社以外にも選択肢はあったのではないでしょうか。

千株式会社以外にいくつか候補企業はありました。代表の千葉は創業者ということもあり、事業や会社の成長に対して非常に大きな熱量と高い理想を持っていると感じました。同時に、その理想の高さに対して、組織自体にはまだ未整備な点も多く残っていると感じ、自分自身の介在による伸びしろが最も大きいと思えたため入社を決めました。

千株式会社を成長させるために取り組んでいる課題について教えてください。

既存事業が子どもの人口に規定されるビジネスなので、将来的に少子化の影響を受けます。緩やかに進行するので、5年先くらいは既存事業で成長できますが、10年先は分かりません。従って、既存事業を引き続きしっかり伸ばしながら、事業開発をダイナミックに進められるかの両立を主要な経営課題と捉えています。

事業開発はどのように進めていらっしゃいますか

M&Aと自社人材での事業開発を絡めながら拡張していきます。

今年4月にHoisysという保育園向けのICTサービスを展開する「保育ICT株式会社」を譲受しました。開発リソースの節約と、保育園領域での当社の営業網でかなりスピーディーにグロースできるため、GOの判断をしました。弊社は営業網が強いため、営業上のシナジーが効くプロダクトに関しては、今後も積極的にM&Aを検討していきます。

並行して、自社人材での事業開発が加速する仕組みづくりも重視したいと考えています。例えば、新卒プロパーの若手社員は、事業オペレーションが完成された「はいチーズ!」をしっかり育て上げつつ、マーケティングや事業開発のスキルを身につけ、段階的に不確実性の高い新規事業開発に携わるようなキャリアパスを描ける組織像を目指しています。そのために、まずは、少数で推進できるM&Aを先行させ、並行して人材開発や挑戦を促進する文化の醸成を行い、会社の成長と人材の成長の時間軸にバランスを持たせる狙いがあります。

ずばり、田中さんの志を言葉にすると。

楽しい仲間と、意義のあることをすることです。この3年間で多士済々な仲間が増え、経営戦略会議の議論の質が高まったと感じます。日々切磋琢磨できる環境は楽しく自分の頑張るモチベーションの一つになっています。そして、教育機関を始め、子育て環境のDX化は、将来を担うこども達のために必然であり、誰かが絶対にやらなければならないと思っています。それを、千株式会社が先頭集団のいち企業として牽引していく状態でありたいと考えています。

商品・サービスや働く環境観点

田中さんから見た貴社のサービスの強みを教えてください。

弊社の基幹事業の「はいチーズ!」は、写真をネットで販売する事業なので、一見インターネットビジネスに見えると思いますが、実態はBPO事業(業務代行)の要素が濃く、裏側のオペレーション部分に強みがあります。

例えば、1件の運動会にカメラマンを派遣するには、その回ごとに「8時半に〇〇保育園の〇〇先生と、正門前で待ち合わせ。撮影内容は~、、」というところまで、かなり細かくセッティングしなければ成立しません。しかも、毎年1回ずつというイベントがほとんどなので、「前回同様で」とはいきません。保育園、幼稚園との連絡にはメールだけでなく電話やファックスも駆使する必要があり、可能な限り業務標準化やシステム化を進めている弊社でも、どうしても自動化できずに人手で対応する部分が残ります。そういうイベントを月間数千件回していくオペレーション能力は一朝一夕では構築できません。

一方で、幼稚園、保育園様にとって運動会の写真撮影は確実にできて当然のことです。幼稚園保育園の領域では日本最多のイベント撮影数を担っている当社で、業務やシステムのPDCA10年以上回し続け、安定的に写真撮影販売サービスを提供できるように日々オペレーションを磨き続けている点が、ITに強みを尖らせている企業や、後発で参入する企業には、同質化するのは非常に難しい点になります。

そういったtoB向けの業界特化したオペレーション能力に加え、保護者の写真購入画面の利便性をベストに保つことで、BtoBtoCモデルとして、toBtoCの両ステークホルダーのニーズを確実に満たし、直近3か年で大きくシェア拡大できました。今後は、既存事業領域の完成度を高めつつ、並行して、事業開発やM&Aにより、隣接領域の拡張と、プロダクト間でのIT連携を進め、ユーザー利便性、新しい顧客体験価値の提供に繋げていきます。

バリューを言語化した狙いについて教えてください。

最近、会社としての3つのバリュー(=行動指針)を掲げました。これは「人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。」というミッションを実現するための行動規範となります。新卒若手プロパー社員が、3年後に会社を引っ張っている状態をつくるための成長の土台として、多様な背景を持つ中途社員が、千の社員らしい行動とは?を考える際の、共通言語として機能させたいです。

1つ目のバリュー「1000 Smiles 心を込めて協力し合う千のチームワークで、笑顔になれる感動を届けていく」について教えてください。

今回定めた3つのバリューの中で、少しベンチャー企業らしくないと個人的に思っているのが、この「チームワーク」を、あえて最初のバリューに掲げていることかなと思っています。

弊社の事業は、業務のバケツリレーが長く一人一人がプロセス全体を意識しないと業務がうまく回りません。例えば急な撮影依頼のニーズが発生すると、どうしても顧客のニーズに応えたい営業と、急なカメラマン手配を強いられる手配担当の間でコンフリクトが起きます。どちらか一方が自分の業務のしやすさだけを優先すると、前後の工程にしわ寄せが来るのです。そういった状態では、安定的に業務を遂行することが難しくなります。従って、常に「チームワーク」を大切にすることを軽視しないスタンスが大事になります。

2つ目のバリュー「1000 Challenges 最後まで諦めない千のチャレンジ精神で、今までにない創造を生んでいく」について教えてください。

世の中のDX化の流れは必然で不可逆だと捉えています。その一方で私たちの顧客である教育機関は、「スピード」より「運用の安定性」を重視する傾向があり、拙速をあまり好みません。そこで大切なのは、チャレンジした際に、顧客に長期間向き合い続け、粘り強くチャレンジし、ひとつひとつのプロダクトに腰を据えて取り組んでいくだと考えています。

3つ目のバリュー「1000 Opinions 自分の意見と向上心に満ちた千の主体性で、自己を磨ける個性を育てていく」について教えてください。

そして最後に「主体性」を置いています。社員がそれぞれの持ち場で、自分の持ち場より少し広い範囲で、もし自分が意思決定者ならどうするかを普段から考えたり、提案するようになってほしいです。そして、数年後、なるべく早い時期に新卒社員の中から、次の経営を担う人材が出てきて欲しいと思っています。

バリューを浸透するための具体策について教えてください。

表面的なところでは、バリューの文言が記載されたステッカーを配布したり、ポスターをオフィスに掲載したりしています。特に日常的に活用しているのは、社内ツールのSlackでの意識付けです。Slackは、メッセージに対して「花束」や「笑顔」のようなリアクションを押すことができるので、投稿されたメッセージに対して、これは1000Challengesっぽいなと思うと、「1000Challenges」のリアクションを押すようにしています。このように社内コミュニケーションの中に、バリューを組み込むことによって、バリューを体現し、着実に定着していっています。

評価にもバリューを組み入れていくと伺っています。

この9月から始まる新しい事業年度から、評価にバリューの体現度を組み入れます。定量的な目標や業績とは別に、業務における行動が、バリューである「チームワーク」「チャレンジ」「主体性」の観点から、どうであったかを、明文化された基準と照らし合わせながら評価します。

田中さんの次のチャレンジは何でしょうか。

ミッションである「人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。」の実現に向けた事業の拡張です。業界のDX化に向け、M&Aや新プロダクト開発を進めたり、それを実現できる戦力を、中途採用、組織開発で整備しています。戦略と戦力は不可分なものなので、戦力の裏付けがない戦略はポエムですし、戦略なき戦力も機会損失になると思っています。経営戦略と組織戦略は不可分なので、両要素が高いレベルでバランスするように、ミッション実現に向け、バリューを基盤に社員一丸となり社会に価値を提供できるようにチャレンジしていきます。

COMPANY PROFILE

理念・ミッション

  • ミッション:人の心に火をつける。世界を動かす会社を創る。
  • バリュー
    • 1000 Smiles: 心を込めて協力し合う千のチームワークで、笑顔になれる感動を届けていく
    • 1000 Challenges: 最後まで諦めない千のチャレンジ精神で、今までにない創造を生んでいく
    • 1000 Opinions: 自分の意見と向上心に満ちた千の主体性で、自己を磨ける個性を育てていく

社名

  • 千株式会社

代表

  • 千葉伸明

事業内容

  • インターネット写真販売サービス事業「はいチーズ!」
  • インターネット写真販売システム事業「はいチーズ!+」「はいチーズ!先生プラン」
  • 卒園・卒業アルバム制作事業「はいチーズ!アルバム」
  • 保育業務ICTIoT事業「Hoisys」「Hoimin
  • 広告販促事、マーケティング支援事業
  • 映像制作、映像配信、WEB制作事業
  • AI事業
  • 写真撮影事業(スタジオ・法人・個人など)

    設立年

    • 2004年

    社員数

    • 326名(2020年4月時点) ※グループ会社含む

    売上

    • 非公開

    所在地

    • 〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目3-2 経団連会館13階

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